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空き家の相続税はいくらかかる?税金対策も解説 | 空き家の活用・運用なら空き家ZERO
COLUMN

空き家の相続税はいくらかかる?税金対策も解説

公開日 2024.11.20 更新日 2024.11.22

近年、日本全国で空き家が増加の一途をたどっています。総務省の統計によれば、2018年時点で全国の空き家数は約849万戸、空き家率は13.6%と過去最高を記録しました。

空き家の相続は、思いがけず高額な相続税負担を強いられる可能性があり、事前の対策が重要です。本記事では、空き家にかかる相続税の計算方法や、活用できる税制特例、具体的な対策方法までわかりやすく解説します。

相続税とは

相続税は、被相続人(亡くなった方)から相続人が受け取った財産に対してかかる税金です。平成27年の税制改正により基礎控除額が引き下げられ、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となりました。これにより、以前より多くの方が相続税の対象となっています。
相続財産には、預貯金や有価証券だけでなく、土地や建物などの不動産も含まれます。特に不動産は評価額が高額になりやすく、相続税額を大きく左右する要因となります。空き家の場合、居住用住宅に適用される税制優遇を受けられないケースが多く、相続税の負担が予想以上に大きくなることがあります。

空き家の相続税

空き家を相続する場合の税負担は、その利用状況によって大きく異なります。誰も住んでいない状態で相続するか、居住用として利用するかで、適用される特例も変わってきます。空き家の状態や今後の活用方法によって、相続税の計算方法や対策を検討する必要があります。

だれも住んでいない空き家の場合

誰も住んでいない空き家を相続する場合、土地・建物は相続財産として相続税の課税対象となります。通常の住宅相続で適用される「小規模宅地等の特例」が使えないため、評価額の全額に課税されることになります。
ただし、被相続人が老人ホームなどの施設に入所していた場合は例外的に特例の適用を受けられる可能性があります。これは、施設入所前まで実際に居住していた実績があることが条件となります。

被相続人と同居または居住用として利用する場合

被相続人と同居していた場合や、相続後も居住用として利用する予定がある場合は、「小規模宅地等の特例」の適用を受けられる可能性があります。この特例により、土地の評価額を最大80%減額できます。
ただし、介護などの目的で一時的に同居していた場合は適用外となります。また、相続後も継続して居住する意思がない場合も特例は適用されません。相続時の居住実態や、今後の利用計画が重要なポイントとなります。

空き家の相続税の計算方法

空き家の相続税を算出する際は、まず建物と土地それぞれの評価額を計算し、その合計額から基礎控除額を差し引いた後に税率を適用します。

計算方法を理解することで、おおよその相続税額を把握することができます。適切な対策を講じるためにも、具体的な計算手順を確認しておきましょう。

①空き家の相続税評価額を算出する

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額に1.0を掛けて算出します。この評価額は、市区町村から送付される固定資産税の課税明細書で確認できます。
土地の評価額は、所在地域によって「路線価方式」または「倍率方式」で計算します。路線価方式の場合は「路線価×土地面積×補正率」、倍率方式の場合は「固定資産税評価額×倍率」で計算します。路線価や倍率は、国税庁のウェブサイトで確認できます。

②相続税評価額から基礎控除額を引いて税率をかける

相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。評価額の合計から基礎控除額を差し引いた金額に、相続税率を掛けて税額を算出します。
例えば、相続人が1人で遺産総額が1億円の場合、基礎控除額は3,600万円となり、課税対象額は6,400万円です。この場合の税率は30%で、控除額700万円を差し引いた1,220万円が相続税額となります。

空き家の相続税対策

空き家の相続税対策は、相続が発生する前から計画的に準備することが重要です。特例の活用や売却、場合によっては相続放棄など、状況に応じて最適な方法を選択する必要があります。ここでは、実行可能な対策をいくつかご紹介します。

小規模宅地等の特例を適用可能にする

小規模宅地等の特例は、土地の評価額を最大80%減額できる制度です。この特例を活用するには、被相続人との同居実績や、相続後も居住を継続する意思が必要です。
また、空き家を賃貸物件として活用する場合も、200㎡までの土地について評価額を50%減額できます。ただし、相続開始前から3年以上賃貸経営を行っていることが条件となります。

空き家・土地を売却する

相続開始から3年以内に空き家を売却する場合、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が適用できる可能性があります。売却価格が1億円以下で、1981年5月31日以前に建築された建物が対象です。
更地にして土地だけを売却する選択肢もあります。解体費用は必要ですが、土地の売却がスムーズになる場合があります。

相続放棄する

相続放棄は、相続人が相続を受けない選択をすることです。空き家の維持管理や税負担が大きいと判断した場合の選択肢となります。ただし、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
なお、相続放棄をすると他の財産も相続できなくなるため、慎重な判断が必要です。

寄付する

空き家を国や地方公共団体、公益法人などに寄付する方法もあります。2023年4月からは「相続土地国庫帰属制度」が開始され、一定の条件を満たす土地は国に寄付することができます。
ただし、建物がある場合は対象外となるため、更地にする必要があります。また、申請料や土地の管理負担金が必要です。

空き家を相続する際の注意点

空き家の相続には、想定以上の経済的・社会的負担が伴います。相続税以外にも様々な費用や管理の手間が発生し、放置すれば税負担が増加し近隣トラブルを引き起こす可能性もあります。相続を検討する際は、これらの点にも注意が必要です。

注意点①固定資産税が発生する

空き家であっても、毎年固定資産税と都市計画税が課税されます。税率は固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。住宅用地として認められる場合は軽減措置がありますが、特定空家に指定されると最大6倍に増額される可能性があります。

注意点②管理コストが発生する

空き家の維持には、定期的な点検や清掃、庭の手入れなどが必要です。遠方に住む場合は、管理会社への委託費用も考慮する必要があります。また、建物の老朽化に伴う修繕費用も発生します。

注意点③空き家を放置すると増税される可能性がある

適切な管理がされていない空き家は、「特定空家等」に指定されるリスクがあります。倒壊の危険性や衛生面での問題が認められると、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が大幅に増額されます。

注意点④近隣住民とのトラブルが発生する

空き家の管理が不十分だと、雑草の繁茂や害虫の発生、建物の一部損壊による被害など、近隣住民とのトラブルの原因となります。場合によっては損害賠償を請求される可能性もあり、放置はリスクが高くなります。

空き家の相続を成功させるポイントと専門家への相談

空き家の相続には、予想以上の税負担やコストが伴います。相続税の軽減には「小規模宅地等の特例」の活用や、3年以内の売却による特別控除の利用など、様々な選択肢があります。状況に応じて、賃貸活用や寄付なども検討する価値があるでしょう。
ただし、これらの対策には細かな条件があり、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。サワ建工では、空き家の活用について「空き家ZERO」というサービスを提供しています。オーナー様の負担金を0円に抑えたリフォーム工事や、賃貸運用、売却のサポートまで、ワンストップで対応が可能です。
相続対策は早めの準備が成功のカギとなります。まずは気軽にご相談ください。

この記事の監修者

寺澤 正博

サワ建工株式会社 代表取締役

一級建築施工管理技士

二級建築士

高等学校を卒業後、東京トヨペットに3年間勤務。その後、「お客様の気持ちに寄り添った工事をしたい」という思いから独立をし、1989年にサワ建工株式会社を設立。空き家事業だけではなく、新築工事やリフォーム、不動産業など、人が安心して暮らせる「住」を専門に約30年間、東京・埼玉・千葉を中心に地域に根付いたサービスを展開している。東京都の空き家問題に本格的に取り組むべく、2021年から「あき家ZERO」事業を開始。空き家を何とかしたい、活用したいと考えている人へサービスを提供している。

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