空き家を貸したい!貸すメリット・デメリットと貸し出しの流れ
「空き家を貸したいけど貸し方がわからない」「貸す前に注意点などを踏まえておきたい」などと考えていませんか。詳細がわからず、困っている方もいるでしょう。空き家の貸し出しには収益を得られるなどのメリットがあります。一方で、管理が難しくなる点には注意が必要です。ここでは、空き家を貸すメリット・デメリットと貸し出しにかかる費用、空き家を貸す流れなどを詳しく解説しています。検討を進めたい方は確認しておきましょう。
目次
空き家を貸し出すメリット
空き家を貸し出す主なメリットは以下の4点です。
メリット①老朽化の進行を食い止められる
空き家は劣化が早いと考えられています。貸し出しにより、劣化を遅くできる可能性があります。劣化が早くなる主な原因は次のとおりです。
【空き家の劣化を進める原因】
- 換気を十分に行えない
- 適切なタイミングでお手入れできない
空き家は空気が循環しにくいため、湿気がこもってカビや木材腐朽菌が繁殖しやすくなります。木材腐朽菌は木材を腐らせる原因です。また、空き家になると、トラブルに気づきにくくなります。雨漏りしていても、放置されることが少なくありません。この点も、劣化を進める原因です。空き家を貸すと、人が出入りするためこれらの原因を取り除けます。建物が傷みにくくなるでしょう。
メリット②家賃収入が得られる
家賃収入が得られる点も、貸し出しのメリットです。空き家を所有していると維持管理費がかかります。主な維持管理費は次のとおりです。
【維持管理費の例】
- 固定資産税
- 都市計画税(都市計画区域内に空き家がある場合)
- 修繕費
- 庭木剪定などの費用
固定資産税と都市計画税は、毎年、1月1日時点の所有者に対し課される地方税です。つまり、メンテナンスなどを行わなくても、空き家を所有しているだけで維持管理費がかかります。貸し出しで家賃収入を得れば、収支をゼロまたはプラスにできる可能性があります。家賃設定などによっては、安定した収入源にすることも可能です。魅力的なメリットといえるでしょう。
メリット③所有している不動産を手放す必要がない
賃料で維持管理費を賄えれば、空き家を売却する必要はなくなります。固定資産税などがかかっても、実質的なマイナスはなくなるためです。何かしらの理由で空き家を手放したくない方は、貸し出しを検討するとよいかもしれません。
空き家を手元に残しておけば、さまざまな活用方法が考えられます。たとえば、まとまった資金が必要になったときに空き家を担保にして金融機関から融資を受ける、不動産価格が高騰したときに空き家を売却するなどの選択肢が生まれます。
維持管理費の負担が重いなどの理由で、空き家を手放すと簡単には取り戻せません。落ち着いて活用方法を考えられる点も賃し出すメリットといえるでしょう。
メリット④将来的に自分自身も住める
賃貸に出すと空き家を維持することになります。したがって、タイミングを見計らい自分が住むこともできます。
もちろん、貸し出していない空き家にも住めますが、この場合は住むまでの間にかかる維持管理費を家賃収入以外で負担しなければなりません。また、定期的にお手入れをしないと劣化してしまう恐れもあります。放っておいたせいで、リフォームが必要な状態になることもあるでしょう。当然ながら、この場合の費用も家賃収入以外から捻出することになります。
ただ所有しているだけだと、空き家の維持管理費が重くのしかかります。住む可能性がある方は、空き家を賃し出して維持しておくとよいかもしれません。
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空き家を貸し出すデメリット
空き家を貸し出すことにはデメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。
デメリット①空室が発生するリスクがある
空き家を貸しに出せば、入居者がすぐに現れるわけではありません。入居者を見つけられず、空室が続くこともあります。この間は家賃収入を得られません。賃貸に出すと、維持管理費に加えて、広告料や仲介手数料(入居者が見つかったときに発生)がかかる点にも注意が必要です。空室期間が長くなると、これらの負担を重く感じやすくなります。
入居者を見つけられないときは、賃貸に出した物件を見直すことが大切です。家賃を相場とあわせていても、周辺の物件より古いと競争力は低下してしまいます。家賃の見直しにより、入居者を見つけやすくなる可能性があります。家賃設定で悩む場合は、不動産会社と相談するとよいでしょう。
デメリット②入居者に関するトラブルが発生する
入居者に関連のトラブルにも注意が必要です。よくあるトラブルとして、家賃滞納があげられます。すぐに退去させればよいと考えがちですが、貸主を保護する法律があるため、簡単には手続きを進められません。
また、入居者から設備に関する問題を指摘されることや入居者または近隣の住民から騒音に関する問題を指摘されることもあります。些細に思えることであっても、入居者などにとっては重大な関心事です。問題を拡大させないため、迅速な対応を求められます。
空き家を賃貸に出すと、入居者に関するさまざまなトラブルが起こりえます。入居審査を慎重に行う、賃貸借契約書の内容を見直すなど、事前に対策を講じておくことが大切です。
デメリット③管理費がかかる
空き家を賃貸に出すと、固定資産税などの維持管理費とは別に、広告費や仲介手数料、原状回復費、設備の修繕費、設備の購入費などがかかります。また、家賃収入が一定金額以上になると確定申告を行わなければなりません。税理士に依頼すると、税理士報酬もかかります。経費や手間がかかる点は、貸し出しのデメリットです。
したがって、かかる費用を踏まえたうえで家賃を設定して支出管理を行う必要があります。これらを疎かにすると、広告費や原状回復費を捻出できず、新しい入居者を集められなくなることも考えられます。小規模であっても、経営者目線をもつことが大切です。
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空き家を貸し出す場合にかかる費用
賃貸物件として貸し出すにあたり、空き家はリフォームを必要とすることが少なくありません。基本的には、リフォーム費用がかかると考えておくほうがよいでしょう。具体的に、どのような費用がかかるのでしょうか。
水回りのリフォーム
優先度が高い場所として、水回りがあげられます。キッチン、浴室、洗面所、トイレなどは、入居希望者からチェックされやすい場所です。カビが生えていたり水垢が溜まっていたりすると不潔な印象を与えてしまいます。また、設備を入れ替えるだけで、住宅の機能を劇的に高められることもあります。物件の競争力に直結するため、リフォームの必要性が高いといえるでしょう。
水回りのリフォームにかかる費用の目安は次のとおりです。
リフォームの内容 | 費用の目安 |
システムキッチンの入れ替え | 45~110万円 |
ミニキッチンの入れ替え | 30~50万円 |
トイレの入れ替え | 10~25万円 |
ユニットバスの入れ替え | 60~80万円 |
具体的な金額は、設備のグレードなどで異なります。
屋根のリフォーム
屋根もリフォームの優先度が高い場所と考えられます。定期的なメンテナンスを必要とするためです。具体的な期間は屋根材で異なりますが、ストレート屋根であれば10年前後がメンテナンスのタイミングと考えられています。メンテナンスを行わないと、屋根の防水性は低下してしまいます。築年数が経っている空き家は、貸し出す前に屋根のリフォームを行っておくほうがよいかもしれません。
屋根のリフォームにかかる費用の目安は次のとおりです。
工法 | 費用の目安 |
葺き替え | 70~230万円 |
重ね葺き | 60~220万円 |
屋根塗装 | 20~80万円 |
具体的な金額は、リフォームの内容で大きく異なります。
空き家のリフォームに活用できる補助金
国や自治体はリフォームに活用できる補助金制度を実施しています。たとえば、目黒区は次の制度で空き家のリフォームを支援しています。
制度名 | 住宅リフォーム資金助成 |
助成金額 | 工事費用の10%(上限10万円) |
対象者 | 目黒区民 |
対象物件 | 区内に所有する賃貸用住宅の空き家・空き室 |
対象工事 | 高齢者・障害者などが住みやすくなる工事
|
工事業者 | 区内の業者 |
自治体が実施する支援制度は「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」で探せます。
出典:目黒区「住宅リフォーム資金助成」
出典:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
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空き家を貸し出す際の手続きの流れ
ここからは、空き家を貸し出す流れと税務上の手続きを解説します。
空き家を貸すまでの手続きの流れ
空き家を貸す流れは次のとおりです。
【流れ】
- 不動産会社で査定を受けて家賃などを検討
- 不動産会社と媒介契約を締結
- 入居者を募集
- 入居希望者と賃貸借契約を締結
貸し出しを検討したいときは、原則として不動産会社で相談します。不動産会社は、物件の状態や過去の取引実績などをもとに家賃を査定してくれます。複数の不動産会社で査定を受けてもかまいません。信頼できる不動産会社が見つかったら媒介契約を締結します。媒介契約は、不動産の売買や賃貸の仲介を依頼するときに結ぶ契約です。ここからは、不動産会社が中心となり入居者を募集します。入居希望者が見つかれば、契約内容などを確認したうえで、賃貸借契約を締結します。
税務上の手続きの流れ
事業的規模で不動産の貸付を始めたときは、開業日から1カ月以内に納税地を所轄する税務署長へ「個人事業の開業・廃業届」を提出する必要があります。事業的規模の基本的な判断基準は次のとおりです。
【判断基準】
- アパートなどは貸与できる独立した室数がおおむね10室以上
- 独立家屋は貸与できる家屋がおおむね5棟以上
貸付を始めた年から青色申告を行いたい場合は、開業日から2カ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」も提出します。また、業務に従事する親族のうち一定の人に給与を支払う場合は「青色事業従事者給与に関する届出書」の提出も必要です(事業的規模・青色申告の場合)。税務署で相談しつつ手続きを進めましょう。
出典:国税庁「No.1399 新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など」
空き家を貸したい方は空き家ZEROにご相談ください
ここでは、空き家を貸し出すメリット・デメリットなどについて解説しました。主なメリットは空き家から収入を得られること、主なデメリットはトラブルが起こりやすくなることです。気をつけたい点はありますが、維持管理費などを賄える可能性があるためメリットの大きな取り組みといえるでしょう。
ただし、空き家の貸し出しには専門的な知識が必要です。検討を進めたい方は、オーナー様の負担金0円でリフォームを行い、プロが入居者募集などをサポートする空き家ZEROを利用してみてはいかがでしょうか。
空き家の活用をお考えなら、「あき家ZERO」にお任せください。
この記事の監修者
高等学校を卒業後、東京トヨペットに3年間勤務。その後、「お客様の気持ちに寄り添った工事をしたい」という思いから独立をし、1989年にサワ建工株式会社を設立。空き家事業だけではなく、新築工事やリフォーム、不動産業など、人が安心して暮らせる「住」を専門に約30年間、東京・埼玉・千葉を中心に地域に根付いたサービスを展開している。東京都の空き家問題に本格的に取り組むべく、2021年から「あき家ZERO」事業を開始。空き家を何とかしたい、活用したいと考えている人へサービスを提供している。