空き家の運用方法や注意点を紹介
「空き家の運用って具体的にどういうこと?」
「空き家を運用するメリットとデメリットが知りたい」
「空き家の運用に際して知っておきたい事実とは?」
空になったペットボトルはリサイクルに。
あるいは、水筒に、栽培の鉢に、夏休みの工作に。
では、空き家はどう活用すればよいのでしょうか。
本記事では、空き家の運用方法や注意点について、パターン別に解説していきます。
空き家を何とかしたい、空き家を活用して利益を出したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
空き家の定義
空き家の定義は「空家等対策特別措置法」に定められており、それによると「1年以上住んでいない、または使われていない家」とされています。
判断基準としては、人の出入りの有無や、電気・ガス・水道の使用状況、物件の管理状況、所有者の利用実績などが考慮されます。
つまり、長期間空き家として放置されている家や、利用されずに放置されている家が、空き家とされるわけです。
空き家の定義は法律によって明確にされており、これを基準に各種空き家対策が進められています。
空き家の運用って具体的にどういうこと?
空き家の運用は基本的に「建物を利用する、建て替える、更地にする」の3つのパターンがあります。
まず、建物を利用する場合は、リノベーションや修繕を行い、賃貸物件や民泊、店舗などとして活用できます。
次に、建て替える場合は、空き家を解体し、新たな建物を建てます。
この際には、建築規制や都市計画などに基づいて再建築が行われるのが一般的です。
最後に、更地にする場合は、空き家を解体し、土地を利用することが考えられます。
この場合、新たな用途や開発が計画されることがあります。
空き家の運用は、それぞれの状況や目的に応じて柔軟に選択できるといえるでしょう。
関連記事:空き家の解体費用の相場を紹介
【パターン別】空き家を運用するメリット
ここからは、空き家を運用するメリットについて解説していきます。
全3パターンを記載しているので、順番に見ていきましょう。
- 現状の建物を利用する場合
- 建て替える場合
- 更地にする場合
それぞれ確認してください。
関連記事:空き家を管理する方法と注意したい潜在リスク・コストと対策方法
現状の建物を利用する場合
まずは、現状の建物を利用する場合です。
空き家を現状の建物として利用する場合、再利用やリノベーションが行われます。
これにより、空き家が放置されることなく、新たな活用方法が見つかることがあります。
たとえば、空き家を賃貸物件や宿泊施設としてリノベーションすることで、地域の観光振興や経済効果を生み出すことが可能です。
また、公共施設や共同住宅、店舗などの用途に転用することもできます。
これにより、地域の賑わいや活性化に寄与することが期待されています。
ただし、耐震性や法規制などの点に留意しながら、建物の状態や利用ニーズに合わせた計画が必要です。
つづいて、現状の建物を利用するメリットを2つ紹介します。
- 初期投資が少ない
- 利益をすぐに得られる
それぞれ解説していきます。
初期投資が少ない
空き家を現状の建物として利用する場合、初期投資が少ないというメリットがあります。
既に建物が存在しているため、建築や解体にかかる費用を抑えることができます。
建物は基本的な構造や設備が揃っているため、再利用やリノベーションによって新たな用途に適応させることが可能です。
また、建物の外観や内装を変更することで、個性的なデザインを実現することもできます。
これにより、既存の建物の資産価値を最大限に活かしながら、新たな事業や生活空間を創造することができます。
初期投資を抑えながらも、地域の活性化や景観の改善に貢献できることが利点です。
利益をすぐに得られる
空き家を現状の建物として利用する場合、利益をすぐに得られるというメリットがあります。
既に建物が存在しているため、新たな建築や設備投資の必要がなく、すぐに利用開始が可能です。
これにより、新たなビジネスや賃貸物件として収益を得ることができます。
利益を得るためには、マーケット調査や需要分析などを行い、需要に応じた利用方法を検討する必要がありますが、一旦利用が始まれば、比較的早い段階で収益性を確保できる可能性が高いです。
空き家のリノベーションや再利用によって、資産価値を最大限に引き出し、収益を得ることができます。
建て替える場合
次に、建て替える場合です。
空き家を建て替える場合、まず現状の建物を解体し、新たな建物を建てます。
建て替えには、地域の建築基準や法規制に適合する必要があります。
また、周辺環境や景観に配慮しながら、建物のデザインや機能を検討することも重要です。
建て替えにはコストや時間がかかるため、計画段階で予算やスケジュールを慎重に考慮する必要があります。
しかし、空き家の建て替えにより、地域の景観や街の魅力を向上させることができます。
また、耐震性や省エネ性など、安全性や快適性の向上も図れるでしょう。
つづいて、立て替えるメリットを1つ紹介します。
- 収益性が高まる
詳しく解説していきます。
収益性が高まる
空き家を建て替える場合、収益性が高まるというメリットがあります。
建て替えによって新しい建物を設計・建築することで、収益性の高い用途やデザインを実現することが可能です。
たとえば、老朽化した建物を解体し、新たな住宅や商業施設を建てることで、需要に合った高額な賃料や価格を設定することができます。
また、建物の利便性や魅力を向上させることで、需要や利用者の獲得・維持がしやすくなります。
さらに、最新のエネルギー効率や省エネ技術を導入することで、ランニングコストの削減や環境負荷の軽減も可能です。
建て替えによる収益性向上は、長期的に持続的な収益を生み出し、投資効果を最大化できると言えます。
更地にする場合
最後に、更地にする場合です。
空き家を更地にするとは、現状の建物を解体し、あった建物をなくすことを意味します。
この手法は、建物が老朽化しているか、再利用や建て替えが難しい場合に適用されます。
更地にすることで、新たな用途や開発計画が可能となりますが、周辺環境や法規制にも配慮しましょう。
また、解体作業にはコストと時間がかかるため、予算とスケジュールの確保も重要です。
更地にすることで、地域の活性化や景観改善に貢献することが期待されますが、再建設や利用計画の検討が必要です。
つづいて、更地にするメリットを1つ紹介します。
- 立地に合った活用法が選べる
詳しく解説していきます。
立地に合った活用法が選べる
空き家を更地にする場合、立地に合った活用法を選ぶメリットがあります。
既存の建物を解体し、更地にすることで、その土地の特性や需要に合わせた最適な活用方法を選ぶことが可能です。
たとえば、交通の便がよい場所であれば、商業施設やオフィスビルとして活用することができます。
逆に、自然環境に恵まれた場所であれば、リゾート施設や農業施設として活用することも可能です。
更地にすることで、建物の制約を受けずに新たなビジネスや資産価値を構築することができます。
また、需要や市場の変化に応じて活用法を変更することも容易です。
立地に合った活用法を選ぶことで、最大の収益を得ることができます。
関連記事:空き家の活用事例を紹介!建物を壊さない利活用とは?
【パターン別】空き家を活用するデメリット
ここからは、空き家を活用するデメリットについて見ていきます。
ここでは、以下3つのパターン別に解説していきます。
- 現状の建物を利用する場合
- 建て替える場合
- 更地にする場合
それぞれ確認してください。
関連記事:空き家が売れないケースとは?売却のコツと具体的な方法について
現状の建物を利用する場合
まずは、現状の建物を利用する場合です。
この場合のデメリットは以下の通りです。
- 老朽化していれば修繕費用が掛かる
詳しく解説していきます。
老朽化していれば修繕費用が掛かる
空き家を現状の建物を利用する場合のデメリットのひとつは、老朽化していれば修繕費用が掛かることです。
老朽化した建物は劣化や損傷が進行しているため、定期的な修繕やメンテナンスが必要です。
建物の外壁や屋根の防水効果が低下している場合、雨漏りや結露などの問題が発生し、建物の耐久性が低下します。
また、配管や電気設備などの設備も古くなっている可能性があり、故障やトラブルのリスクも。
これらの問題を解消するためには、建物全体の修繕や設備の更新が必要となるため、費用や時間がかかることがあります。
さらに、修繕費用が高額になる場合、収益性が悪化する可能性もあります。
建て替える場合
次に、建て替える場合です。
この場合のデメリットは以下の通りです。
- 初期費用・期間を要する
詳しく解説していきます。
初期費用・期間を要する
空き家を建て替える場合のデメリットのひとつは、初期費用と期間が要ることです。
建て替えには解体費用、設計費用、建築費用などの膨大な費用が必要となります。
また、建築プロセスには設計段階、施工段階、引き渡し段階など、複数の工程があり、それぞれに時間がかかります。
とくに、設計や建築の準備段階では、地盤調査や設計図の作成、建築許可の申請など、多くの手続きや調査が必要です。
これらの作業には時間がかかるため、建て替えの期間も長くなることがあります。
また、建築業者の予定や工事の進行状況などによっても期間が変動することがあります。
初期費用と期間を要することは、建て替えを検討する際に考慮すべき点です。
更地にする場合
最後に、更地にする場合です。
この場合のデメリットは以下の通りです。
- 解体費用が掛かる
- 固定資産税の負担が増える
それぞれ解説していきます。
解体費用が掛かる
空き家を更地にする場合のデメリットのひとつは、解体費用がかかることです。
建物を解体するためには、専門の解体業者を雇う必要があります。
解体業者は建物を適切に分解し、廃材や残骸を処分する責任を持っていますが、そのためには高い技術と専門的な設備が必要です。
解体には重機や特殊な工具を使用するため、これらの機材や人件費が解体費用の一部を占めます。
また、解体作業には手続きが必要であり、それに伴う手数料や申請費用がかかることもあります。
解体費用は建物の大きさや構造、周辺の環境などによって異なりますが、追加の負担となることは間違いありません。
固定資産税の負担が増える
空き家を更地にする場合のデメリットのひとつは、固定資産税の負担が増えることです。
建物が存在しない場合、土地だけが残るため、固定資産税の評価額が下がります。
固定資産税は土地と建物の評価額に基づいて計算されるため、建物がなくなった場合、その評価額が減少します。
その結果、固定資産税の軽減措置や減税の対象から外れる可能性も。
また、更地になった土地が放置されている場合、地域の景観や環境に悪影響を与えることもあります。
このような場合、自治体からの指導や苦情が入る可能性があり、対応にも時間と費用がかかることが考えられます。
関連記事:空き家の固定資産税が6倍になる理由と軽減措置を継続する方法
空き家の運用に際して知っておきたい事実
最後に、空き家の運用に際して知っておきたい事実について紹介しておきます。
以下2点は非常に重要なポイントです。
- 更地の状態だと固定資産税が嵩む
- 補助金制度も利用できる
それぞれ確認してください。
更地の状態だと固定資産税がかさむ
空き家が更地になった場合、固定資産税がかさむ可能性があります。
一般的に、固定資産税は土地と建物の評価額に基づいて課税されますが、建物が存在しない場合、土地の評価額が高まり、それに応じて固定資産税も増加する傾向があります。
とくに、土地の位置や環境などに魅力的な要素がある場合、更地の状態でも高い評価額が設定されることがあるでしょう。
したがって、更地にする代わりに新たな建物を建てる方が、固定資産税の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、具体的な評価額や税金の計算は地方自治体によって異なるため、詳細な情報は各地方自治体の税務署などでの確認が必要です。
補助金制度も利用できる
空き家の運用には、補助金制度を利用することも可能です。
各地方自治体や国が、空き家の活用促進のために補助金制度を設けています。
たとえば、空き家をリノベーションして賃貸住宅として利用する場合、補助金が支給されることがあります。
また、地域の活性化や観光振興などの目的で民泊を行う場合にも補助金の利用は可能です。
ただし、補助金の利用条件や申請手続きは地域や制度によって異なりますので、詳細な情報は各自治体や関連機関のホームページなどで確認することが大切です。
補助金は運用費用の一部をカバーするうえ、空き家の活性化にも大きく寄与するといえます。
空き家の運用方法は3つ
空き家の運用方法は、主に以下の3つの選択肢があります。
1つ目は、現状の建物を利用する方法で、リノベーションや改修を行って新たな活用法を見つけること。
2つ目は、建て替える方法で、古い建物を解体し、新築や増改築を行うことで新たな利用価値を生み出せます。
3つ目は、更地にする方法で、現状の建物を取り壊し、更地にすることで土地の活用や再開発が行えます。
それぞれの選択肢には、メリットやデメリットがありますので、適切な運用方法を選ぶためには状況や目的に応じた慎重な検討が必要です。
空き家の活用をお考えなら、「あき家ZERO」にお任せください。
この記事の監修者
寺澤 正博
高等学校を卒業後、東京トヨペットに3年間勤務。その後、「お客様の気持ちに寄り添った工事をしたい」という思いから独立をし、1989年にサワ建工株式会社を設立。空き家事業だけではなく、新築工事やリフォーム、不動産業など、人が安心して暮らせる「住」を専門に約30年間、東京・埼玉・千葉を中心に地域に根付いたサービスを展開している。東京都の空き家問題に本格的に取り組むべく、2021年から「あき家ZERO」事業を開始。空き家を何とかしたい、活用したいと考えている人へサービスを提供している。