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空き家をコインパーキングにするメリットと開業にかかる費用の目安
COLUMN

空き家をコインパーキングにするメリットと開業にかかる費用の目安

公開日 2024.08.21 更新日 2024.11.15

「活用できていない空き家をコインパーキングにしたい」「メリット・デメリットがあれば教えて欲しい」などと考えていませんか。
活用方法を慎重に決定したいと考えている方は多いでしょう。
コインパーキングの主なメリットはコストがかかりにくいことです。
一方で、税負担は重くなる傾向があります。
ここでは、空き家をコインパーキングにするメリット・デメリットとコインパーキングの開業、維持にかかる費用の目安などを紹介しています。
空き家の活用方法でお困りの方は参考にしてください。

 

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空き家をコインパーキングにするメリット

空き家をコインパーキングにする主なメリットは次のとおりです。

【メリット】

  • 安定した収入を得ることができる
  • ほかの土地活用方法に比べてコストが低い
  • ほかの土地活用に転用しやすい
  • 条件によっては空き家の解体費を管理会社が負担してくれる

各メリットについて詳しく解説します。

メリット①安定した収入を得ることができる

最も大きなメリットは、安定した収入を得られる可能性があることです。
コインパーキングでは、ユーザーの利用時間に応じた収入が発生します。
駅前などの好立地であれば、大きな収入を得られるでしょう。
参考に、コインパーキングの収入例を紹介します。

 

駐車スペース 4台分
料金設定 400円/60分
稼働率 35%
年間売上 490万円

上記の条件であれば、年間で490万円程度(400円×24時間×4台×365日×35%)の売上を期待できます。
ただし、実際の経営では初期費用や維持費がかかります。
上記の金額がそのまま手元に残るわけではありません。
とはいえ、収入源のひとつにできることはわかります。

メリット②ほかの土地活用方法に比べてコストが低い

他の土地活用方法に比べて、コストを抑えやすい点も空き家をコインパーキングにするメリットとしてあげられます。
原則として月極駐車場よりコストはかかりますが、それでも他の土地活用方法よりは割安になるケースが多いでしょう。
たとえば、アパート経営であれば、建物の建設が必要になるため、数千万円程度の初期費用がかかります。
まとまった資金を必要としない点は魅力です。
また、最低限の設備しか使用しないため、維持管理費も抑えやすい傾向があります
コストをかけたくない方でも、検討できる土地活用方法と考えられます。

メリット③ほかの土地活用に転用しやすい

柔軟性の高さもコインパーキングの強みのひとつです。
アスファルトと設備を撤去すれば更地に戻せるため、他の土地活用へ手軽に転用できます

たとえば、周辺環境の変化にあわせて、コインパーキングからコインランドリーへ変更するといったことも可能です。
土地活用の方法が決まるまでのつなぎとして選択できます。
初期費用がかかりにくく、撤退のハードルがそれほど高くない点もポイントです。
明確なプランはないものの、土地を遊ばせておきたくない方にも向いている土地活用の方法と考えられます。

メリット④条件によっては空き家の解体費を管理会社が負担してくれる

コインパーキングは、自主経営と委託経営にわかれます。
委託経営は専門会社に経営を任せる方法といえるでしょう。
委託経営の契約内容はさまざまです。
ケースによっては、空き家の解体費を専門会社が負担してくれることもあります。

委託経営の一例として、一括借り上げがあげられます。
一括借り上げは、オーナーから借り上げた土地で、専門会社がコインパーキングを経営する方式です。
土地の整備、機械の設置、清掃業務、設備の撤去などは、原則として専門会社が行います。オーナーは、コインパーキングの売上にかかわらず定額の賃料を受けとります。
契約方法を選べば、オーナーの負担を減らせる点もコインパーキングの魅力です。

 

関連記事:空き家の活用事例を紹介!建物を壊さない利活用とは?

空き家をコインパーキングにするデメリット

空き家をコインパーキングにすることにはデメリットもあります。
主なデメリットは以下のとおりです。

【デメリット】

  • 所得税・住民税の負担が増える
  • 固定資産税の負担が増える
  • 需要がないと収益化できない

各デメリットについて解説します。

デメリット①所得税・住民税の負担が増える

コインパーキングは、他の土地活用方法に比べて、所得税や住民税の負担が重くなりやすい傾向があります(売上が同じ場合)。
所得税、住民税は、収入から経費などを差し引いた課税所得金額に一定の税率を乗じて求めます。
コインパーキングは、初期費用や維持費用がかかりにくい、つまり経費にできる金額が少ないため、所得税や住民税の負担が重くなりやすいのです。
参考に、所得税の税率を紹介します。

 

課税所得金額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円 40% 2,796,000円
40,000,000円~ 45% 4,796,000円

想定以上の税金を課されることもあるため注意が必要です。

 

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

デメリット②固定資産税の負担が増える

空き家を解体してコインパーキングにすると固定資産税の負担が増えます。
課税標準額に対する特例措置を適用できなくなるためです。
固定資産税の税額は以下の計算式で求めます。

税額=課税標準額(固定資産評価額)×1.4%(標準税率)

居住用建物の敷地は、課税標準額を減額する住宅用地特例を適用できます。
詳細は次のとおりです。

【住宅用地特例】

  • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):課税標準額の価格を1/6に軽減
  • 一般住宅用地(200㎡超のの部分):課税標準額の価格を1/3に軽減

以上の特例を適用できなくなるため、固定資産税の負担が増えます。
固定資産税評価額によっては大きな影響があるため、事前に確認しておくことが大切です。

 

出典:総務省「固定資産税」

 

関連記事:空き家の固定資産税が6倍になる理由と軽減措置を継続する方法

デメリット③需要がないと収益化できない

コインパーキングは、初期費用と維持費用を抑えやすい魅力的な土地活用方法です。
ただし、すべての空き家に適しているわけではありません。
駐車場の需要がないと、売上や利益を生み出せないためです。
立地によっては、赤字が続いてしまうことも考えられます。
たとえば、周辺が田畑の土地にコインパーキングを開業しても、期待しているほどの売上を立てられないことが多いでしょう。
周辺エリアにおける駐車場の需要と競合駐車場の存在を調査してから開業することが大切です。
基本的には、駅前やオフィス街、観光地など、人通りが多いエリアは、駐車場の需要を見込みやすいと考えられます。

 

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空き家をコインパーキングにするとかかる費用

コインパーキング経営には、さまざまな費用がかかります。
ここでは、初期費用と維持費用にわけて、主な費用を紹介します。

その①初期費用

 

空き家の解体費用

土地を更地に戻すため空き家の解体が必要です。
解体費用の相場は、建物の構造で異なります。
解体費用は作業量と比例する傾向があるため、解体が難しい構造ほど割高になるといえるでしょう。
木造・軽量鉄骨造・鉄筋コンクリート造の相場は以下のとおりです。

 

建物の構造 相場
木造 30,000~50,000円/坪
軽量鉄骨造 50,000~70,000円/坪
鉄筋コンクリート造 60,000~80,000円/坪

たとえば、解体費用の坪単価が40,000円で建物の大きさが30坪であれば、解体費用は120万円です。
解体費用は、原則として産業廃棄物処理費用などを含みます。
具体的な金額はケースで異なるため、見積もりをとって確認することが大切です。

 

関連記事:空き家の解体費用を用意できない場合の選択肢を紹介

 

家財の撤去費用

解体業者は、原則として家財の撤去を行ってくれません。
家財の処分に必要な許可を得ていないためです。
ゴミは、一般廃棄物と産業廃棄物にわかれます(産業廃棄物法)。
家財は一般廃棄物、解体で生じる瓦礫は産業廃棄物に分類されます。
一般廃棄物の収集・運搬には、一般廃棄物収集運搬業許可が必要です。
ほとんどの解体業者は、この許可を取得していません。
したがって、解体前に専門業者へ依頼して家財を撤去しておく必要があります。
費用の相場は、一般的な戸建住宅で20~50万円程度です。
具体的な金額は、家財の種類や量などで異なります。
家財の量を減らしておくと撤去費用を抑えられます

 

土地整備費

土地整備は、コインパーキングに求められる環境を整備する工事です。
たとえば、土地の高低差を解消する工事などが該当します。
空き家が建っている土地は、原則として土地整備を終えています。
したがって、必要になる工事の内容とかかる費用を確認することが大切です。
また、この後で説明する土地舗装とまとめて行うこともあります。

 

土地舗装費

ここでいう土地舗装は、アスファルト舗装を指します
舗装のみであれば費用の相場は5,000円/㎡程度といえるでしょう。
地盤改良などの基礎工事を併せて行う場合は7,000円/㎡程度かかります。
たとえば、50坪の土地であれば、83万円程度で土地舗装を行えます(舗装のみの場合)。

 

機器・設備

コインパーキングに設置する機器・設備にも費用がかかります。
主な機器・設備とそれぞれの費用は以下のとおりです。

機器・設備 相場
精算機 50万円/台
ロック板 10万円/台
看板・照明 15万円
監視カメラ 2万円/台
工事費 50万円

具体的な金額は、コインパーキングの規模などで異なります

その②維持費用

 

土地の固定資産税

必ずかかる維持費用として土地の固定資産税があげられます
固定資産税は、毎年1月1日時点における固定資産の所有者に対して課される市町村税(東京都23区は都税)です。
登記簿や土地補充課税台帳などに所有者として登録されている方が納税義務を負います。税額の計算式は以下のとおりです。

税額=課税標準額(固定資産評価額))×税率

標準税率は1.4%です。
具体的な税率は市町村により異なることがあります。
前述のとおり、コインパーキングは居住できる建物の敷地ではないため住宅用地特例を適用できません。
したがって、空き家があるときよりも固定資産税は高くなります。

 

出典:総務省「固定資産税」

 

付随する設備の固定資産税

コインパーキングで使用する設備にも固定資産税がかかります。
償却資産(事業に使用できる資産)も固定資産に含まれるためです。
償却資産の例として舗装、広告塔、フェンス、外灯、防犯カメラ、精算機などがあげられます。
納税義務者は、償却資産課税台帳に所有者として登録されている方です。
税額の計算方法は土地の場合と同じです。

税額=課税標準額×税率

課税標準額が免税点(150万円)未満の場合は課税されません。
償却資産は毎年評価替えが行われます。評価替えは、評価額の見直しと考えればよいでしょう。

 

出典:総務省「固定資産税」

出典:松戸市「有料駐車場を所有されている方へ」

出典:東京都主税局「固定資産税(償却資産)」

 

修繕費

コインパーキングに設置している設備・機器などの修繕費も維持費用としてあげられます。具体的な金額や発生頻度はケースで異なります。
適切な維持管理を心がければ修繕費を抑えやすくなるでしょう。

 

損害保険料

コインパーキングの経営には、さまざまなリスクが伴います。
リスクを管理するため、加入を検討したいのが損害保険です。
具体的には、以下の保険などがあります。

 

保険の種類 概要
施設賠償責任保険 施設の管理などに伴い生じた賠償責任を補償
動産総合保険 偶然かつ外来の事故で動産に生じた損害を補償
放置車両保険 放置車両の撤去にかかる費用を補償

これらの保険に加入する場合、一定の保険料がかかります。

 

借入金の支払利息

開業資金や運転資金を借り入れた場合は、毎月の返済額以外に支払利息もかかります。
具体的な金額は、借入金額や適用金利などで異なります
借入時に、無理なく返済できる計画を立てておくことが大切です。

 

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コインパーキング以外の空き家の活用方法

空き家は、コインパーキング以外にも活用できます。
主な活用方法は次のとおりです。

 

関連記事:空き家を活用するにはどうしたらいい?事例と一緒に収益化をするアイディアを紹介

活用方法①店舗貸し

空き家を店舗として貸し出す方法です。
古民家などは、一定の需要を見込めます。
主なメリットは、空き家を解体せずに活用できることと店舗の経営が軌道に乗れば安定した家賃収入を得られることです。
ただし、店舗用に改装したり、設備を導入したりする必要があります。
したがって、貸出後に住居として再利用することは難しいかもしれません。

活用方法②賃貸物件

空き家を賃貸物件として貸し出す方法です。
主なメリットは、居住用の物件を活用するため、初期費用がかかりにくいことといえるでしょう
戸建ての場合は、ファミリー層が主なターゲットになる点もポイントです。
入居期間が長いため、安定した家賃収入を期待できます。
ただし、物件の状態によっては、初期費用として修繕費がかかります。
また、設備の入れ替えなどで費用がかかったり、募集業務や入居者対応で手間がかかったりすることもあります。
手間を減らしたい場合は、管理会社などを利用するとよいでしょう。

活用方法③ワークスペース

ワークスペースとして空き家を貸し出す方法です。
リモートワークが定着したことで注目を集めています。
主なメリットは、初期費用を抑えやすいことです。
通信環境、事務機器などを整備すれば原則として営業できます。
アイデア次第で、小さなスペースを有効活用できる点も魅力です。
ただし、集客が難しい立地や物件もあります。
開業前に、向き不向きを評価しておくことが大切です。

活用方法④民泊

空き家を民泊として利用する方法です。
主なメリットは、空き家を現状のまま利用できることといえるでしょう。
最低限の修繕は必要ですが、古い建物であっても、打ち出し方によってはそのまま活用できます。
ただし、賃貸物件などに比べると収入は安定しません。
年間の宿泊数が180日以内に制限されている点もポイントです。
近隣住民とのトラブルにも気をつける必要があります。
メリット・デメリットを正しく理解してから始めることが大切です。

見通しを立ててから空き家をコインパーキングに

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ここでは、空き家をコインパーキングにする前に知っておきたいポイントを解説しました。コインパーキングの主なメリットは、コストを抑えやすいことと他の土地活用に転用しやすいことです。
ただし、需要が乏しいエリアには向いていません。
税負担が重くなりやすい点にも注意が必要です。
空き家の活用には、さまざまな選択肢があります。
コインパーキングが向いていない場合は、他の方法を検討するとよいでしょう。

 

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この記事の監修者

寺澤 正博

サワ建工株式会社 代表取締役

一級建築施工管理技士

二級建築士

高等学校を卒業後、東京トヨペットに3年間勤務。その後、「お客様の気持ちに寄り添った工事をしたい」という思いから独立をし、1989年にサワ建工株式会社を設立。空き家事業だけではなく、新築工事やリフォーム、不動産業など、人が安心して暮らせる「住」を専門に約30年間、東京・埼玉・千葉を中心に地域に根付いたサービスを展開している。東京都の空き家問題に本格的に取り組むべく、2021年から「あき家ZERO」事業を開始。空き家を何とかしたい、活用したいと考えている人へサービスを提供している。

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