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固定資産税が6倍になる空き家はいつから増える?検討したい対策3選
COLUMN

固定資産税が6倍になる空き家はいつから増える?検討したい対策3選

公開日 2024.08.20 更新日 2024.11.15

「固定資産税が6倍になる空き家はいつから増える?」「固定資産税が6倍になる理由と対策を教えて欲しい」などと考えていませんか。
対象になる空き家がわからず、不安を抱えている方もいるでしょう。
結論を最初に示すと、2024年から固定資産税が6倍になる空き家が増えると考えられています。

ここでは、その理由を解説するとともに固定資産税の増額を防ぐ方法、管理できない空き家を所有し続けるリスクなどを紹介しています。
空き家の管理でお困りの方は参考にしてください。

 

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固定資産税が6倍になる空き家が増えるのはいつからなのか

2023年12月に、改正空き家対策特別措置法(空き家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)が施行されたことを受けて、2024年から固定資産税が6倍になる空き家が増えると考えられています。
対象になるのは、放置されている空き家です。
適切に管理されている空き家の固定資産税が6倍になることは原則としてありません。
どのような理由で固定資産税が6倍になってしまうのでしょうか。

 

関連記事:空き家の活用事例を紹介!建物を壊さない利活用とは?

空き家の固定資産税が6倍になってしまう理由

理由の前に、固定資産税について解説します。
固定資産税の計算式は以下のとおりです。

税額=課税標準額(固定資産評価額)×1.4%(標準税額)

課税標準額の特例措置として住宅用地特例が設けられています。
具体的な内容は次のとおりです。

【住宅用地特例】

  • 200㎡以下の住宅用地(小規模住宅用地)は課税標準額を1/6に軽減
  • 200㎡超の住宅用地(一般住宅用地)は超過部分の課税標準額を1/3に軽減

空き家対策特別措置法に基づき、空き家が特定空き家等、管理不全空き家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れます
したがって、固定資産税が6倍になってしまうのです。

 

出典:総務省「固定資産税」

出典:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」

 

関連記事:空き家は固定資産税が無料?課税の有無と検討したい固定資産税対策

固定資産税が6倍になる空き家の種類

特定空き家等、管理不全空き家等はどのような空き家なのでしょうか。
これらについて解説します。

その①特定空き家

空き家対策特別措置法は、特定空き家等を以下のように定義しています。

この法律において「特定空き家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等をいう。

 

引用:e-GOV法令検索「平成二十六年法律第百二十七号 空き家等対策の推進に関する特別措置法」

 

関連記事:実家が空き家になったらどうするべき?放置空き家になる原因と対処法

 

放置すると倒壊する、衛生上の問題になる、景観を損ねる、周辺の生活環境に悪影響を与える恐れがある状態の空き家を特定空き家等というのです。

その②管理不全空き家

空き家対策特別措置法は、管理不全空き家等を「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空き家等に該当することとなるおそれのある状態」の空き家などと定義しています。
管理不全空き家等は、特定空き家等の予備軍といえるでしょう。
具体例として、窓や壁が破損している空き家があげられます。
このような住宅をこのまま放置すると、倒壊する恐れや景観を著しく損ねる恐れなどがあります。

 

出典:e-GOV法令検索「平成二十六年法律第百二十七号 空き家等対策の推進に関する特別措置法」

出典:国土交通省|住宅:空き家対策 特設サイト

固定資産税の6倍が決定する流れ

前述のとおり、特定空き家等、管理不全空き家等に指定されて、市町村長から勧告を受けると住宅用地特例の対象から外れて固定資産税が6倍になります。
どのような流れで、固定資産税が6倍になるのでしょうか。

 

関連記事:空き家に税金はかかる?維持費を抑える方法も解説

流れ①行政による空き家の状況把握

近隣住民からの相談や実態調査などを受けて、現地調査ならびに所有者などの調査が行われます。
ここでいう現地調査は、空き家が特定空き家等、管理不全空き家等に該当するか判定するための調査です。
具体的には、考えられる悪影響の範囲や程度、危険の切迫性などを確認します(周辺の建物、通行人の存在とこれらに対する影響など)。
外観の目視だけで状況を把握できない場合は立ち入り検査も行われます。
立ち入り検査が実施されるのは、必要性が認められる場合だけです。
以上の結果を受けて、特定空き家等、管理不全空き家等に該当するかどうかの判定を行います。

流れ②行政からの状況改善指導

判定の結果、特定空き家等に指定されると市町村長から空き家の所有者に対して助言・指導、管理不全空き家等に指定されると市町村長から空き家の所有者に対して指導が行われます。これらの内容はケースで異なりますが、対象となる空き家の状態、対象となる空き家が周辺に与えている影響、所有者が行うべき対応、対応を取るべき理由などが文書で示されることが一般的です(口頭で行われることもあります)。

流れ③行政からの勧告

助言・指導を行ったにもかかわらず、当該特定空き家等、管理不全空き家等の状態が改善しない場合、市町村長は空き家の所有者などに対して、周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとること、当該管理不全空き家等が特定空き家等に該当することを防ぐために必要な措置をとることを勧告できます
市町村長から勧告を受けた特定空き家等の敷地、管理不全空き家等の敷地は、住宅用地特例の対象から外れます。
つまり、固定資産税が6倍になるのです。
固定資産税の増額を防ぎたい方は、調査や助言・指導の段階で、適切に対処する必要があります。

 

出典:e-GOV法令検索「平成二十六年法律第百二十七号 空き家等対策の推進に関する特別措置法」

 

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空き家を所有し続けるリスク

空き家の所有には、固定資産税の増額以外にもリスクがあります。
気をつけたいポイントは以下のとおりです。

ポイント①維持費がかかる

空き家を所有していると、利用の有無にかかわらず維持費がかかり続けます。
代表的な維持費としてあげられるのが固定資産税と都市計画税です。
これらの税金は、毎年1月1日時点における土地や家屋の所有者に課税されます(都市計画税は市街化区域内の土地や家屋)。
適切な管理を求められるため、メンテナンス費がかかり続ける点もポイントです。
具体例として、修繕費、庭木の伐採費、光熱水費などがあげられます。
さらに、自治会費、火災保険料などがかかるケースもあるでしょう。
以上を合計すると、毎年数万円~数十万円がかかり続けると考えられます。

 

関連記事:空き家の年間の維持費は?コストを抑える方法も紹介

ポイント②犯罪に利用される

空き家が犯罪に利用されることもあります。
具体的には、空き家に侵入したものが住人になりすまして、宅配便で送られてきた現金や不法薬物を受け取るなどが考えられます
もちろん、これらの保管場所に利用されたり、犯罪グループのアジトに利用されたりすることも考えられるでしょう。
管理できない空き家を所有していると、気づかない間に犯罪に関わってしまう恐れがあります。
警察庁は、現金送付型特殊詐欺に空き家などが活用されている現状を踏まえて、地方公共団体と連携して空き家所有者に対しての周知・啓発を行っています。身近なトラブルと考えて、対策を講じておくことが大切です。

 

出典:警察庁「国民を詐欺から守るための総合対策」

ポイント③不法投棄される

空き家を放置していると、庭にゴミを不法投棄されることがあります。
草木が覆い茂ると、ゴミが目立ちにくくなるためです。
ゴミが増え始めると、ゴミを捨てても問題ない場所と認識されて、さらに不法投棄されやすくなります。
いつの間にかゴミ屋敷になっていることもあるため注意が必要です。
また、ゴミが増えると、悪臭や害虫が発生しやすくなります。
ゴミに放火されることも考えられます。
周辺の生活環境に悪影響を与えるため、小まめに処分してゴミを溜めない、ゴミを捨てにくい環境にするなどの対処が求められます

ポイント④火災・倒壊で損害賠償が発生する

失火によって隣家が延焼しても、失火者が損害賠償責任を負うことはありません。
ただし、重大な過失が認められる場合は除きます。
たとえば、漏電の恐れを指摘されていたにもかかわらず放置していたケースなどが該当します。

また、空き家の倒壊で近隣の住宅などに被害を与えると、損害賠償請求される恐れもあります
民法717条で以下のように定められているためです。

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。

 

引用:e-GOV法令検索「明治二十九年法律第八十九号民法」

 

空き家を放置している方は、これらのトラブルに注意が必要です。

ポイント⑤老朽化によって価値が無くなる

一般的に、放置されている空き家は老朽化しやすいと考えられています。
換気や通水などが行われないためです。
たとえば、換気が行われないと、湿った空気が建物内にとどまり続けます。
この影響で、木材を腐らせる木材腐朽菌が繁殖しやすくなる恐れがあります。
適切なメンテナンスを行えない点もポイントです。
雨どいが詰まって水があふれだし、建物に浸水することも考えられます。
これらの影響で建物が老朽化すると資産価値は低下します。
売りたくても売れない、有料で引き取ってもらわなければならない状態になるため注意が必要です。

 

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空き家の固定資産税が6倍になることを避ける方法

いくつかの方法で、固定資産が6倍になることを防げます。ここでは、主な対策を紹介します。

ポイント⑥空き家を売却、もしくは活用する

空き家を売却すると、固定資産はかからなくなります。
固定資産は、毎年1月1日時点の所有者に課されるためです。
売却が難しい場合は、貸し出しを検討するとよいでしょう。
特定空き家等、管理不全空き家等に指定されるリスクを抑えられるうえ、賃料収入で固定資産税を賄えます。
ただし、空き家の状態によっては、リフォームなどの準備が必要です。
管理業務を求められる点もポイントです。
また、すべての空き家が賃貸物件に適しているわけではありません。
専門家と相談しつつ、活用方法を検討することが大切です。

相続した空き家を売却・活用する際の注意事項

相続した空き家を売却、活用したい場合は、事前に名義変更を行っておく必要があります。

具体的には、所有権の移転登記(相続登記)が必要です。
所有権の移転登記は、被相続人の戸籍謄本、新しい所有者の登記申請書などの必要書類を管轄法務局へ提出することで行えます。
具体的な必要書類は相続の方法で異なります。
申請方法は、窓口、郵送、オンラインの3つです。
必要な手続きを司法書士などに依頼することもできます。
ちなみに、2024年6月1日から相続登記の申請が義務化されました。
所有権の移転を知った日、遺産分割が成立した日から3年以内に手続きを行わないと10万円以下の過料に処される恐れがあります。

 

出典:東京法務局「相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始) ~なくそう 所有者不明土地!~」

 

関連記事:空き家の活用方法10選!空き家を収益化をするアイディアを紹介

ポイント⑦行政の指示に従い、適切な管理を行う

助言・指導の段階で、行政の指示に従い適切な管理を行えば、住宅用地特例の対象から外れることを防げます
助言・指導から勧告へ進まないためです。
求められる管理はケースで異なりますが、まとまった費用がかかることもあります。
たとえば、外壁修繕費の相場は50~400万円程度です。
固定資産税が6倍になることを防げても、金銭的な負担を減らせる保証はありません。
負担が重くなる場合は、他の方法を検討するとよいでしょう。

ポイント⑧空き家を解体する

空き家の解体も、対策のひとつとして検討できます。
建物がなくなるため、特定空き家等、管理不全空き家等に指定されて勧告を受けることはなくなります。
ただし、注意点がないわけではありません。
空き家を解体すると、解体費用がかかります。
また、住宅用地特例の対象からも外れます。
つまり、土地に対する固定資産税が6倍になってしまうのです。
したがって、解体後に売却するなど、活用方法を予め検討しておくことが大切です。

空き家を放置すると固定資産税が6倍になるかも

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ここでは、空き家の固定資産税がいつから6倍になるかなどについて解説しました。
2023年に施行された改正空き家対策特別措置法で、新たに管理不全空き家等が設けられたため、2024年以降に固定資産税が6倍になるケースが増えると考えられます。
特定空き家等や管理不全空き家等に指定されて勧告を受けないように管理することが大切です。

 

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この記事の監修者

寺澤 正博

サワ建工株式会社 代表取締役

一級建築施工管理技士

二級建築士

高等学校を卒業後、東京トヨペットに3年間勤務。その後、「お客様の気持ちに寄り添った工事をしたい」という思いから独立をし、1989年にサワ建工株式会社を設立。空き家事業だけではなく、新築工事やリフォーム、不動産業など、人が安心して暮らせる「住」を専門に約30年間、東京・埼玉・千葉を中心に地域に根付いたサービスを展開している。東京都の空き家問題に本格的に取り組むべく、2021年から「あき家ZERO」事業を開始。空き家を何とかしたい、活用したいと考えている人へサービスを提供している。

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