空き家をリフォームするメリット・デメリットとリフォーム時の注意点
「空き家をリフォームするメリットを教えて欲しい」「リフォーム前の注意点を知っておきたい」などと考えていませんか。
一定の費用がかかるため、慎重に行動したいと考えている方は多いでしょう。
空き家リフォームの主なメリットは、倒壊のリスクを抑えられることと資産価値の低下を防げることです。
ただし、注意したい点がないわけではありません。
ここでは、空き家をリフォームするメリットとデメリットを解説するとともにリフォーム業者の選び方やリフォーム前に注意したいポイントなどを紹介しています。
空き家の管理でお困りの方は参考にしてください。
目次
空き家をリフォームする目的
空き家をリフォームする目的はケースで異なります。
主な目的として以下のものがあげられます。
【目的】
- 自身の住居として利用するため
- 第三者に売却するため
- 第三者に貸し出すため
原則として、目的によりリフォームの内容は異なります。
たとえば、自身の住居として利用する場合は、最低限のリフォームでよいケースが多いでしょう。
一方で、第三者に貸し出す場合は、ターゲットに合わせた設備などを必要とするケースが少なくありません。
以上からわかるとおり、空き家のリフォームは目的を明らかにしてから行うことが重要です。
関連記事:空き家を活用するにはどうしたらいい?事例と一緒に収益化をするアイディアを紹介
空き家をリフォームするメリット
空き家をリフォームする主なメリットとして以下の点があげられます。
【メリット】
- 倒壊や犯罪のリスクを軽減できる
- 資産価値が増加する
- 特定空き家に認定されづらくなる
これらについて解説します。
メリット①倒壊や犯罪のリスクを軽減できる
空き家を放置していると、倒壊のリスクが高くなります。
木材の腐食、シロアリの発生、外壁の剥離などのトラブルが起こりやすくなるためです。
これらに気づきにくい点もポイントです。
放置している空き家は、短期間で劣化することがあります。
また、犯罪に巻き込まれるリスクも高まります。
侵入窃盗のターゲットになることはもちろん、特殊詐欺の現金や不法薬物の受取場所として活用されることが考えられるためです。
たとえば、悪意のある第三者が住人になりすまして荷物を受けとるなどが起こりうるでしょう。
リフォームを行って適切に管理すると、これらのリスクを遠ざけられます。
メリット②資産価値が増加する
空き家が劣化すると、資産価値は下がります。
建物の価値が低下するうえ、売買時に修繕費や解体費を見込まなければならないためです。
条件によっては、活用が難しくなるでしょう。
劣化する前にリフォームを行っておくと、資産価値の著しい低下を防げます。
それどころか、資産価値のアップを目指せることもあります。
買手や借手を見つけやすくなるためです。
ただし、お金をかけた分だけ、資産価値がアップするわけではありません。
専門家と相談しつつ、必要なリフォームを検討することが大切です。
関連記事:空き家の活用方法10選!空き家を収益化をするアイディアを紹介
メリット③特定空き家に認定されづらくなる
以下の状態にある空き家を「特定空き家等」といいます。
【状態】
- 倒壊などの恐れがある
- 衛生上有害になる恐れがある
- 景観を著しく損なっている
- 周辺の生活環境を考え放置が不適切
市町村長は、特定空き家等の所有者などに対して勧告を行えます(助言・指導を行っても状態が改善しない場合)。
勧告を受けると、固定資産税における住宅用地特例の対象から外れます。
したがって、住宅用地(200㎡以下の部分)の課税標準額が1/6になる軽減措置を受けられません。
つまり、固定資産税が6倍になってしまいます。
適切な管理により、特定空き家等に認定されにくくなる点もリフォームを行うメリットです。
出典:e-GOV法令検索「平成二十六年法律第百二十七号空き家等対策の推進に関する特別措置法」
出典:総務省「固定資産税」
出典:国税庁「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」
空き家をリフォームするデメリット
空き家のリフォームには、デメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。
【デメリット】
- 費用がかかる
この点について解説します。
デメリット①費用がかかる
空き家のリフォームには、一定の費用がかかります。
具体的な金額は、依頼する業者、工事の内容、設備のグレードなどで異なります。
まとまった金額がかかることもあるため注意が必要です。
特に1981年以前の建物は、耐震補強工事を必要とするケースが多いため、割高になる傾向があります。
ただし、お金をかけた分だけ資産価値がアップするとは限りません。
とはいえ、現状のまま放置すると、空き家の劣化が進み、活用が難しくなってしまいます。
所有し続ける場合はリフォームを行う、リフォームを行わない場合は売却するなど、対策を考えておくことが大切です。
空き家リフォームの費用相場
前述のとおり、空き家のリフォームには一定の費用がかかります。
ここでは、フルリフォームと部分的なリフォームにわけて費用の相場を解説します。
解説①フルリフォームの場合
フルリフォームは、建物の基礎と構造を残して行う大規模な改修工事です。
リノベーションと呼ばれることもあります。
費用の相場は、500~2,000万円程度です。
具体的な金額は、空き家の状態や工事の内容、設備のグレード、依頼する業者などで大きく異なります。
たとえば、状態が悪い空き家は、改修箇所が多くなるため割高になるでしょう。
反対に、状態がよい空き家は、相場以下で工事を行えることもあります。
かかる金額はケースで大きく異なるため、実際に見積もりをとって確認することが大切です。
解説②部分的なリフォームの場合
水回りだけ、外壁だけ、屋根だけなど、気になる箇所だけ部分的なリフォームを行うこともできます。施工箇所別の相場は以下のとおりです。
施工箇所 | 費用 |
トイレ | 10~50万円 |
キッチン | 50~130万円 |
浴室 | 60~160万円 |
洗面所 | 10~70万円 |
玄関 | 30~50万円 |
クロス貼り替え | 1000円/㎡ |
フローリング張替 | 3万円/畳 |
屋根 | 50~400万円 |
雨漏り | 10~50万円 |
外壁 | 50~400万円 |
耐震補強工事 | 100~200万円 |
部分的なリフォームにかかる費用も、現在の状態や工事の内容、設備のグレード、依頼する業者で異なります。
相場以下で行えること、相場以上になることがあるため注意が必要です。
また、関連する箇所のリフォームをまとめて行うと、費用を抑えられることがあります。
関連記事:空き家を管理する方法と注意したい潜在リスク・コストと対策方法
空き家リフォームで利用できる制度
続いて、空き家のリフォームに活用できる制度を紹介します。
制度①自治体による補助金・助成金
一部の自治体は、空き家のリフォームに活用できる補助金・助成金を用意しています。
一例としてあげられるのが、兵庫県が実施している「空き家活用支援事業」です。
兵庫県:空き家活用支援事業 | |
建物の主な要件 |
|
対象地域 |
※一部地域を除く |
対象者 | 空き家を住宅、事業所、地域交流拠点として改修するもの |
補助額 | 【住宅型】
|
詳しくは、兵庫県公式サイトでご確認ください。
関連記事:空き家の行政代執行が行われる際のリスク・費用と流れについて解説
制度②耐震・省エネリフォーム減税
国は特定のリフォーム工事を対象とする減税制度を用意しています。
対象となるのは、耐震・省エネ・バリアフリーなどに関連する工事です。
具体的な要件は制度で異なります。
例えば、特定の耐震工事を行うと、最大62.5万円の所得税控除、固定資産税額1/2(家屋面積の120㎡相当分まで)の軽減を受けられます。
ただし、所得税控除は自ら居住する住宅が対象です(固定資産税減額は昭和57年1月1日以前から所在すること)。
特定の省エネ工事を行った場合も、所得税控除(62.5万円または67.5万円)と固定資産税減額(1/3を軽減)を受けられます。
所得税控除は自ら所有し居住すること、固定資産税減額は平成26年4月1日以前から所在することを求められます。
出典:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「知ってお得な制度!住宅リフォームの支援制度」
出典:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」
制度③空き家リフォーム向けローン
金融機関の中には、空き家専用のリフォーム向けローンを用意しているところがあります。
主な特徴は、住宅の不具合を修繕する工事、耐震性を強化する工事、防犯性を高める工事、介護に備えたバリアフリー工事、空き家を解体する工事など、さまざまな用途に利用できることです。
具体的な設計は金融機関や商品で異なります。
ニーズに合っている商品を選べる点も魅力です。
リフォーム資金の捻出が難しい方は、このような商品を活用するとよいかもしれません。
ただし、無理なく返済できることも確かめておく必要があります。
空き家のリフォーム業者の決め方
リフォーム業者の特徴はさまざまです。
小規模な工事を専門的に行っているところ、小規模な工事から大規模な工事まで行っているところなどがあります。
目的や希望を踏まえて、ニーズに合っているリフォーム業者を選ぶことが大切です。
たとえば、水回りをリフォームしたいのであれば、水回りに強い業者を選ぶとよいでしょう。各業者の得意分野は、実績を見ればわかります。
複数の業者から見積もりをとって比較することも欠かせません。
同じ施工箇所であっても、業者により工事内容や工事費は異なるためです。相見積もりをとると、相場や目的に合っている業者を把握しやすくなります。
空き家をリフォームする前に確認すべきポイント
空き家の状態によっては、想定通りにリフォームを行えないことがあります。
具体的な手続きを始める前に以下の点を確認しておきましょう。
ポイント①耐震基準を満たしているか
1971年、1981年、2000年に、耐震基準の大きな改正が行われました。
1981年6月1日以降の耐震基準を「新耐震基準」、これ以前の耐震基準を「旧耐震基準」と一般的にいいます。
旧耐震基準に基づき建てられた住宅は、十分な耐震性を有していない恐れがあります。
したがって、リフォーム時に耐震補強工事を必要とするケースやローンの審査で不利になるケースが少なくありません。
これらのリスクに備えて、建物の耐震基準を確かめておくことが大切です。
建築確認通知書に記載されている建築確認日が、1981年6月1日以降であれば新耐震基準に基づき建てられたと考えられます。
この書類が手元にない場合は、自治体で建築確認概要書を閲覧するとよいでしょう。
ポイント②家の状態が悪くないか
家の状態もチェックしておきたいポイントです。
状態によっては、建て替えと大きく変わらない費用がかかります。
希望する工事を行えないこともあります。
したがって、家の状態を正確に把握して、リフォームの必要性を評価しておくことが大切です。
家の状態は、見積もり依頼時にリフォーム業者が原則として無料で調べてくれます。
まずは相談するところから始めるとよいでしょう。
関連記事:空き家の活用事例を紹介!建物を壊さない利活用とは?
空き家の活用にリフォームは欠かせない
ここでは、空き家のリフォームについて解説しました。
リフォームの主な目的は、空き家を有効活用することです。
活用の方法として居住、賃貸、売却があげられます。
リフォームの主なメリットは、倒壊のリスクを抑えられることと資産価値の維持、向上を目指せることです。
ただし、一定の費用がかかります。したがって、複数の業者から見積もりをとって比較することが大切です。
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この記事の監修者
寺澤 正博
高等学校を卒業後、東京トヨペットに3年間勤務。その後、「お客様の気持ちに寄り添った工事をしたい」という思いから独立をし、1989年にサワ建工株式会社を設立。空き家事業だけではなく、新築工事やリフォーム、不動産業など、人が安心して暮らせる「住」を専門に約30年間、東京・埼玉・千葉を中心に地域に根付いたサービスを展開している。東京都の空き家問題に本格的に取り組むべく、2021年から「あき家ZERO」事業を開始。空き家を何とかしたい、活用したいと考えている人へサービスを提供している。